そもそも陶器と磁器が違うということを知っていましたか?
同じ食器、と思われるかもしれませんが、使い方や耐久性にも違いがあります。
本記事では、素材・特徴・扱い方などをわかりやすく解説していきます。
見た目、質感と雰囲気の違い
まず見た目を見比べてみましょう
陶器:マットでやさしい手触り。土の温かみや手仕事感が魅力。

磁器:ツルッとした質感。洗練された印象。

もちろん種類により質感に差はありますが、おおまかな違いとしては上記の通りです。
和食や温かい料理に合うのは陶器、カチッとした洋食や現代料理には磁器が合います。

素材と焼き方の違い
陶器
粘土(陶土)を使い、1,000〜1,200℃で焼成します。
吸水性があるのが特徴。

磁器
石(磁土)を砕いたものを使い、1,200〜1,300℃で焼成します。
ガラス質で硬くて白い。
粘土の主原料 | 焼成温度 | 特徴 | |
---|---|---|---|
陶器 | 土 | 1,000〜1,200℃ | ざらざら・吸水性有り |
磁器 | 石 | 1,200〜1,300℃ | ツルツル・ガラス質 |
実は「磁器」は新しい技術だった?
陶器と磁器、なんとなく昔からあるもの…という印象かもしれませんが、歴史的に見るとその登場には大きな差があります。
日本で陶器といえば、縄文時代の土器までさかのぼることができます。その歴史はおよそ1万5千年前。
一方、磁器が日本で初めて作られたのは、なんと1610年代。今からたった400年前のことなんです。
1万5千年 vs 400年。こう見ると、磁器はかなり最近になって登場した“最新技術”とも言えます。
耐久性や実用性に優れているのも納得ですね。
もちろん、釉薬の登場や焼成温度の違いなど歴史的に革新はあるので、単純比較は乱暴かもしれませんが…
このあたりの詳しい話も、いずれ記事で掘り下げたいと思っています!
強度と実用性の違い
強度に関しては、磁器のほうが圧倒的に優れています。
高温で焼き締められており、薄くても丈夫で割れにくいため、家庭用はもちろん、レストランなど業務用としても広く使われています。
一方で陶器は、磁器に比べてやや脆く、欠けやすい傾向があります。
製品によっては食洗機や電子レンジの使用ができない場合もあるため、扱いに注意が必要です。
ただし、陶器ならではの魅力もたくさんあります。
土の質や釉薬(うわぐすり)の種類によって表情が大きく変わり、素朴であたたかみのある風合いを楽しむことができます。
毎日のヘビーユースには磁器を。
素材の味わいを楽しみたいなら陶器を。
手入れ・扱い方の違い

陶器は土から作られているため、微細な隙間があり吸水性があります。
そのまま使えるものも多いですが、製品によっては「目止め(米のとぎ汁などで煮る)」と呼ばれる下処理が必要な場合もあります。
また、濡れたまま放置するとカビや臭いの原因になることも。
とはいえ、最近の陶器は改良されていて、そこまで神経質にならなくても問題ないことが多いです。

一方、磁器は水を吸わないのでお手入れは簡単。
油汚れもスッと落ちるので、日常使いにぴったりです。
電子レンジ・食洗機は使えないのはどっち?
結論から言うと、「陶器も磁器も、製品による」というのが正直なところ。
かなり曖昧な答えですが、それぞれに例外があるため一概には言えません。詳しく解説します。
磁器の場合
基本的に、磁器は電子レンジ・食洗機の使用OK。
丈夫で水も吸わず、お手入れも簡単なので、日常使いに適しています。
ただし、いくつかの例外があります:

- 金彩(きんさい)など金属装飾があるもの
金は電子レンジのマイクロ波に反応し、火花が出たり高温になる危険があります。最近では「電子レンジ対応の金彩」もありますが、説明書などを確認するのが確実です。 - アンティーク磁器
古い食器や骨董品は、電子レンジや食洗機に対応していないことが多いです。製造時期やメーカーによって異なるので、状態を見極めて使う必要があります。
陶器の場合
市販の陶器製食器(メーカー製)であれば、電子レンジ・食洗機に対応しているものが多いです。近年はコーティング技術の進化により、実用性が高まっています。
ただし注意したいのが以下のケース:
- 作家ものや手作りの陶器
一点物や工房で作られた作品などは、電子レンジや食洗機には対応していない場合が多いです。高温によりヒビが入ったり、釉薬がダメージを受けることがあります。 - 金彩がある場合/アンティーク品
これは磁器と同じく、金属装飾がある場合は電子レンジ不可、アンティークは慎重に扱うのが基本です。
陶器でも磁器でも、「電子レンジ・食洗機OKかどうか」は製品ごとの仕様を確認することが一番大事です。パッケージや裏面のマーク、説明書の表記などを見逃さないようにしましょう。
まとめ:自分の暮らしに合ったうつわ選びを
陶器は“味わう”うつわ。磁器は“使いこなす”うつわ。
その違いを知ることで、食卓はもっと自由に、もっと自分らしくなっていきます。
……とはいえ、これはまだ「うつわ沼」の入り口も入り口。
味わい深い磁器もあれば、驚くほど実用的な陶器だってあるんです。
ぜひ、あなたが“うつわ沼”にハマるきっかけになればうれしいです。