赤絵とは

赤絵(あかえ)とは、素地に釉薬をかけて焼成した後、赤(鉄系顔料)を中心とした上絵付けを施し、再び低温で焼き付ける技法、またはその器を指します。
名前の通り赤色が主役ですが、緑・黄・紫・金などを加えることも多く、華やかな磁器として発展しました。
中国明代末期の「五彩(ごさい)」が起源とされ、日本には有田焼を中心に17世紀に伝わり、伊万里焼や九谷焼、京焼など各地で独自に発展しました。
赤絵の魅力

赤絵の魅力は、赤を基調にした華やかな色彩と細やかな文様です。
- 赤色が主体となり、緑・黄・青などで彩りを加える
- 花鳥、唐草、人物、吉祥文様などを緻密に描き込む
- 金彩を加えることで「金襴手」として豪華さを増す
- 白磁に鮮やかな赤が映える美しさ
赤を基調とすることで、明快で華やか、祝祭的な雰囲気を持ちます。
赤絵の弱点と扱い方

赤絵は装飾性が高い一方で、実用における注意点もあります。
- 上絵付けは摩耗に弱く、長年の使用で剥がれることがある
- 金彩や多色彩を伴う場合は食洗機・電子レンジに不向き
- 絵付けが精緻なものほど、鑑賞向けで日常使いに不適
扱い方のポイント
- 中性洗剤でやわらかいスポンジを使用し、手洗い推奨
- 金彩入りは特に擦らないように注意
- 現代の赤絵は実用性を意識して作られたものも多く、用途に応じて選ぶ
現代の赤絵

現代でも有田焼や九谷焼を中心に赤絵の器は作られています。伝統的な細密な絵付けに加え、現代作家によるモダンな赤絵も登場。
また海外でも「Japanese Akae」として評価され、芸術性の高い作品はコレクションの対象となっています。
まとめ
赤絵は、赤を基調とした上絵付け技法によって生まれる華やかな磁器です。中国の五彩を源流に、日本の各地で独自の美を育みました。
赤と白のコントラストに加え、多彩な色彩や金彩を組み合わせることで、祝祭的で豪華な表現を可能にしています。
日常使いから美術品まで幅広い魅力を持つ赤絵は、日本磁器の華やかさを象徴する存在といえるでしょう。


