デルフト焼とは

デルフト焼(デルフトウェア、Delftware)とは、17世紀のオランダ・デルフトを中心に作られた錫釉陶器のことです。
イタリアのマジョリカ焼の技法がオランダに伝わり、中国から輸入された青花磁器(景徳鎮の染付)の影響を強く受けて誕生しました。
白い錫釉を下地とし、コバルト顔料で青の絵付けを施すのが特徴で、「青と白の器」としてヨーロッパ全土に広まりました。
デルフト焼の魅力

デルフト焼の魅力は、磁器に見える錫釉陶器の美しさと多彩な文様表現です。
- 白地に青一色の清楚なデザイン(中国染付の影響)
- 風車・船・風景・聖書の場面などオランダらしい絵柄
- タイルや壺、皿、花瓶など多様な形状
- 白磁がヨーロッパで作れなかった時代に「磁器の代替」として広まった
特にタイルは建築装飾としても広く用いられ、17世紀のオランダ黄金時代を象徴する工芸となりました。
デルフト焼の弱点と扱い方
錫釉陶器であるデルフト焼には、いくつかの弱点もあります。
- 磁器に比べて強度が低く欠けやすい
- 錫釉は表面がやわらかく、摩耗やひびが入りやすい
- 骨董品は保存状態によって退色や剥離が見られる
扱い方のポイント
- アンティークは鑑賞・コレクション向けで、実用は控えめに
- 現代のデルフト焼は観光土産やインテリア用が多く、日常使用も可能
- 食洗機や電子レンジは避け、やさしく手洗いするのが安心
現代のデルフト焼

現在もオランダ・デルフトには「ロイヤル・デルフト(Royal Delft)」をはじめ伝統を継ぐ窯元が存在します。職人が手描きする青絵の器は観光客に人気であり、オランダを代表する工芸品として世界的に知られています。
また、マジョリカの流れを汲む「錫釉陶器」の代表として、美術史や陶磁史においても重要な位置を占めています。
まとめ
デルフト焼は、マジョリカ焼の技法と中国磁器の影響を融合して生まれた、オランダを代表する錫釉陶器です。白地に青一色の爽やかな文様は、17世紀ヨーロッパの生活と美意識を彩りました。
現在も伝統を守りながら生産が続けられており、芸術性とオランダ文化を象徴する工芸品として世界中で愛されています。


