金襴手とは

金襴手(きんらんで)とは、陶磁器に赤絵や色絵で文様を描き、その上から金で加飾した華やかな技法のことです。名前の由来は、金糸を織り込んだ豪華な織物「金襴」にたとえられたことによります。
この技法は明代の中国景徳鎮で生まれ、日本には江戸時代に伝わりました。有田焼・九谷焼・京焼などで盛んに用いられ、将軍家や大名への献上品や、海外輸出用の高級磁器として制作されました。
金襴手の魅力

金襴手の最大の魅力は、赤・緑・青などの色絵と金彩が織りなす豪華さです。
- 赤絵を基調に金彩で文様を縁取る華やかな表現
- 光を受けてきらめく金の輝き
- 花鳥、唐草、吉祥文様など縁起の良いデザイン
- 芸術性が高く、飾り皿や茶器、酒器として人気
特に有田の「金襴手伊万里」はヨーロッパで高く評価され、王侯貴族のコレクションに加えられました。
金襴手の弱点と扱い方

金襴手は華やかですが、扱いには注意が必要です。
- 金彩は摩耗や酸・アルカリに弱いため、長年の使用で剥がれやすい
- 食洗機や電子レンジは不可(金が損傷する恐れ)
- 金彩部分はやや盛り上がるため、欠けたり擦れたりしやすい
扱い方のポイント
- やわらかいスポンジで手洗いする
- 強い洗剤を避け、中性洗剤を使用する
- 使用後は水分を拭き取り、しっかり乾燥させる
現代の金襴手

現代の有田焼や九谷焼でも、伝統的な金襴手の技法を受け継ぎながらモダンなデザインに展開する作家が増えています。
従来の赤絵・金彩にとどまらず、白磁や現代的な形状と組み合わせ、日常使いに適した器も制作されています。インテリアやギフトとしての需要も高く、伝統と革新が融合した表現が進んでいます。
まとめ
金襴手は、色絵と金彩によって織物のように華やかな表現を生み出す技法です。江戸時代から現代まで、献上品や輸出品として高い評価を受け、日本の磁器文化の豪華絢爛な一面を象徴しています。
繊細で扱いに注意は必要ですが、その輝きと華やかさは、今も人々を魅了し続けています。


