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織部焼とは

織部焼(おりべやき)は、安土桃山時代から江戸初期にかけて岐阜県美濃地方で発展した陶器です。
その名は茶人・古田織部にちなみ、茶の湯文化の中で生まれました。織部好みの斬新なデザインを反映した焼き物として、桃山茶陶を代表する存在です。
織部焼の魅力

織部焼の魅力は、大胆な造形と独特の釉薬表現にあります。
- 銅を含む緑釉(織部釉)による鮮やかな色合い
- 自由な形や歪みをあえて取り入れた造形美
- 幾何学文様や植物文様を大胆に描いた絵付け
- 茶碗、向付、皿など多彩な器種
「自由で前衛的」ともいえるデザインは、それまでの均整を重んじた陶器にはない新しさを持ち、茶人たちに歓迎されました。
織部焼の弱点と扱い方

織部焼は釉薬や形の自由さが魅力ですが、そのための注意点もあります。
- 緑釉は焼成環境により発色に差が出やすい
- 歪みのある造形は積み重ねや収納に不便なことも
- 土ものなので吸水性があり、シミがつきやすい
扱い方のポイント
- 使用前に目止めをしておくと汚れや染みを防ぎやすい
- 普段使いする場合は、特に油物や濃い色の食材を長時間置かない
- 使用後はしっかり洗って乾燥させる
現代の織部焼

現在も岐阜県土岐市・多治見市・瑞浪市などを中心に、多くの窯元で織部焼が作られています。伝統的な緑釉や自由な造形を受け継ぎつつ、現代的な食卓やインテリアに合うデザインも増えています。
アーティスト的な作家による前衛的な作品から、日常使いに適したシンプルな器まで幅広く展開され、今も「革新的な焼き物」として評価されています。
まとめ
織部焼は、古田織部の美意識を背景に生まれた、桃山茶陶の代表格です。緑釉の鮮やかさと大胆な造形は、伝統的な焼き物の中でも異彩を放ちます。
自由でユニークなその姿は、茶の湯の世界に新風を吹き込み、現代の器としても個性を求める人々に愛されています。


