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精製塩と天然塩に味の違いはあるのか?研究と調理の視点から検証

2026 1/02
January 2, 2026
関口アキラ

「精製塩はただしょっぱい」
「天然塩は旨みがあって美味しい」

こんな話を聞いたことがある人は多いと思います。

では実際のところ、
精製塩と天然塩に、はっきり分かるほどの味の違いはあるのでしょうか?

研究結果と調理実験、そして現場での実体験をもとに、
栄養士と調理師をもつ筆者が両視点で、この疑問をできるだけ冷静に整理してみます。


目次

塩単体の味の違いはあるのか

参考になりそうな研究を見てみましょう。

Drake & Drake (2010) による研究は、
世界各地で採取された海塩の成分と官能特性を調査したものです。
38種類の海塩を訓練をうけた人(パネリスト)が塩溶液を官能評価しました。

結果として

  • 海塩によってミネラル組成が有意に異なる
  • 同じナトリウム量で比較した場合、塩味の強度に差はない
  • しかし塩味の出かたと持続感の時間が違う塩が存在した
  • 一部の海塩にはミネラル由来の風味も観察された

この研究は
「ナトリウム以外のミネラル成分が塩味の知覚に影響を与える可能性」
を示唆しています。

つまり、天然塩に含まれるミネラルは味に影響する可能性があるということです。

料理にすると、塩の違いは残るのか?

日本の研究を見てみましょう。

「各種食塩の調理に及ぼす影響」
(松本仲子・三好恵子・杉田光代/J-STAGE)

という研究では、複数の塩を使った調理実験が行われています。

この研究で興味深いのは、

  • 塩単体では、わずかな味の違いが認められた
  • 旨味成分を加えると、塩の違いによる差は消えた

という結果です。

つまり、
料理として完成した状態では、どの塩を使ってもほぼ同じ
という結論になります。


…ただし、この研究で比較されている塩が
「食塩」「精製塩」「並塩」「漬物塩」「赤穂の天塩」
と、やや似通ったラインナップなのは少し気になるところ。選び方下手すぎない?

調理技術や再現性まで含めた実験は、今後さらに突っ込んだ検証があっていいと思います。


直接食べ比べると、どう感じるか

Image by StockSnap from Pixabay

一方で、個人的な体験として。

塩の専門店で、さまざまな種類の塩をそのまま舐め比べる 機会がありました。
(都内にありましたが今は沖縄に移転してしまいました。。)

10種20種と舐め比べると、確かに違うと感じる塩はありますし、個性も感じます。
ただし、その数は多くありません。

ほとんどの塩は「まあ、同じだな」という印象で、
たまに「あ、これは違うかも」と感じるものがある程度。
天日塩が美味しいと思う商品が多かったです。

最近美味しいと思ったお塩はこちら。広告ではないのでお気軽に。
天然塩 | 西伊豆ところてんの盛田屋 伊豆盛田屋の完全天日塩がおすすめ。


塩は成分よりも「物理」だ

Image by Iren from Pixabay

塩は成分だけでなく、粒の大きさや形状にもさまざまな違いがあります。

  • 粉状
  • 粒状
  • フレーク状
  • 大粒
  • かたまり

といった具合です。

こうした形状の違いによって、
口の中での食感や溶けるスピードが変わり、それが味の感じ方に影響します。

  • 粒が小さいほど、素早く溶けて塩味が立ち、シャープに感じやすい
  • 粒が大きいほど、溶けるまでに時間がかかり、食感が加わって角の取れた塩味に感じやすい

粒の大きさが不揃いなものは天然塩に多く、それだけで個性が出ます。


ただし、塩を液体に溶かしてしまうと、
こうした食感や溶け方の違いはほとんど意味を持たなくなります。

そのため、塩の個性を活かしたい場合は、
仕上げに振りかける、あるいは添えるのがおすすめです。

プロの現場ではどちらが選ばれているのか

Image by Sang Hyun Cho from Pixabay

日常遣いには「精製塩」

仕事柄、これまで10を超える飲食の現場を見てきましたが、
日常的な調理に使われているのは、ほとんどが精製塩です。

プロの現場で重視されるのは、塩の個性よりも

  • 食材に均等にまぶせるか
  • 振ったときに、毎回ほぼ同じ量が出てくるか
  • コストがかかりすぎないか

という点です。
そのため、粒の大きさが安定していてサラサラと扱える精製塩は非常に都合がいいのです。

旨味やコク、雑味といった要素は、
だし・肉・野菜・発酵食品など、他の食材で表現するのが基本。

塩には、塩分としての役割以上のものを求めていません。


こだわる場面では「天日塩」

一方で、
天ぷらや肉料理などの「仕上げ」や「添える塩」には、こだわる店が多いのも事実です。

たとえばステーキに、フレーク状の塩や粒の大きな岩塩をあえてまばらに振ることで、
一口ごとに塩味の強さが変わり、味にグラデーションが生まれます。
また、こうした塩は料理に直接つけて食べることで、塩のサクサクとした食感を感じやすくなります。

味付けが塩のみの料理ですと、スープなどでもこだわる場合が多い印象です。


つまり、プロの現場では

  • 普段の調理には精製塩
  • 仕上げや提供時のみ、用途に応じて塩を使い分ける

という使い方が、ごく自然に行われているというわけです。


まとめ

研究結果として分かっていること

  • ナトリウム以外のミネラル成分が塩味の知覚に影響を与える可能性がある
  • 旨味成分を含む液体に溶かすと、塩の味の違いはほぼ分からなくなる

現場感覚・体感として言えること

  • 塩は製法や産地によって、確かに味の違いがある
  • 下処理や基本的な味付けは精製塩。雑味は他で補う
  • 仕上げに使う塩は個性のある塩を使う

研究結果や現場感覚からもわかる通り

  • 料理に使うと塩の味の差はわからない
  • 味、食感の違いを活かすため、仕上げに振るのは有効

と言えるでしょう。

天然塩を普段料理に使っている人は、精製塩と本当に違いがあるのか、
一度フラットな状態で食べ比べてみる価値はありますね。

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参考文献・資料

  • Drake, S. L., & Drake, M. A. (2011).
    Comparison of salty taste and time intensity of sea and land salts from around the world.
    Journal of Sensory Studies, 26(1), 25–34.
    https://doi.org/10.1111/j.1745-459X.2010.00317.x
  • 「各種食塩の調理に及ぼす影響」
    (松本仲子・三好恵子・杉田光代/J-STAGE)
栄養学 ミネラルについて 調味料について 調理学 食品学
塩 調理学

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この記事を書いた人

関口アキラのアバター 関口アキラ 管理人

調理師、栄養士、フードスタイリスト、カメラマン。「食」にまつわる幅広い分野で活動中。飲食店の立ち上げやメニュー開発、料理撮影、メニューデザインなど多様な現場に携わる。
食の楽しさを伝えるメディア「趣食研究所」を運営し、記事の執筆・撮影・編集を一貫して手がける。科学的根拠に基づいた発信を大切にしています。
http://se-akira.com/

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