コレステロールというと、「卵や豚の脂に多く含まれていて、体に悪いもの」
そんなイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし実際にコレステロールが多く含まれる食材は意外なものだったりします。
この記事では栄養士が、
- コレステロールを多く含む身近な食材
- なぜそれらの食材に多いのか
- どれくらい気にする必要があるのか
を整理して解説します。
コレステロールを多く含む食材
卵・魚卵(卵黄、たらこ、キャビアなど)

もっとも有名なのが「鶏卵(特に卵黄)」です。
コレステロールは、細胞膜の主要な構成成分として欠かせない物質です。
卵は「これから新しい生命として細胞を大量に作る存在」。
そのため、細胞膜の材料であるコレステロールが豊富に蓄えられています。
同じ理由で、「キャビア」「たらこ」「いくら」といった魚卵類も、コレステロール含有量が多くなります。
卵1個あたりのコレステロール量
- 卵黄1個分:約180〜210mg
- 卵白1個分:ほぼ0mg
→ コレステロールはほぼすべて卵黄に含まれます。
※卵のサイズ(M〜L)や成分表の違いで幅があります。
イカ・エビ・イワシなど

意外に思われがちですが、
- イカ(生)約 170〜180 mg(100gあたり)
- エビ(生)約 150〜190 mg(100gあたり)
- イワシ(生)約 60〜80 mg(100gあたり)
といった魚介類も、コレステロール含有量はやや高めです。
これには理由があります。
- 素早く泳ぐ
- 高度な神経・筋肉を持つ
こうした生き物は、細胞膜の機能性が高く保たれている必要があります。
その材料として、コレステロールが多く使われているわけです。
特にイカやエビなどの軟体動物は、代謝特性や内臓成分の影響もあり、魚類より高めになる傾向があります。
レバー・腎臓などの内臓類

- 鶏レバー(生)約 370〜400 mg(100gあたり)
- 豚レバー(生)約 250〜300 mg(100gあたり)
- 腎臓(豚・生)約 350〜380 mg(100gあたり)
などの内臓にも、コレステロールは多く含まれています。
なんとなくヘルシーそうだと思っていませんでしたか?
内臓は体の中でももっとも働き者の器官。
代謝が活発で、細胞膜の回転も速いため、コレステロールが多いのはむしろ自然なことです。
特に肝臓は、
体内でコレステロールを合成する“工場”でもあります。
そのため、内臓にコレステロールが多いのは
「不健康だから」ではなく、機能的に合理的と言えます。
余談:実は一番コレステロールが多い臓器

余談ですが、
体内で最も多くコレステロールを含む臓器は「脳」です。
全身のコレステロールの約20〜30%が脳に存在しています。
食材としては、
- 卵黄 約 1,200〜1,400 mg(100gあたり)
- 豚の脳 約 2,000〜2,300 mg(100gあたり)
などがトップクラスですが、
これは「脳や神経にコレステロールが不可欠」という事実を反映しています。
豚の脳は中華料理で食べられるみたいなので、見かけたら栄養学的視点で眺めてみるのも面白いかもしれません。
コレステロールは食べても問題ない?
ここまで読むと、
じゃあ、これらの食材は控えた方がいいのでは?
と思うかもしれません。
結論から言うと、健康な人であれば気にする必要はありません。
なぜなら、身体は自分で調整するから
コレステロールは、食事から摂る量・体内で合成する量の合計でバランスが取られています。
実は、体内で合成されるコレステロール量の方が、食事由来より多いことが分かっています。
このため現在では、健康な人向けのコレステロール摂取目標量は設定されていません。
もっと詳しく見たい方はこちらの記事で。

ただし「病気がある場合」は話が別
注意が必要なのは、すでに数値に異常がある場合です。
代表例が脂質異常症(高脂血症)。これは、コレステロール、中性脂肪などの調整機能そのものに異常がある状態です。
この場合、食事由来のコレステロールに対する調整がうまく働かず、血中コレステロール値が上昇しやすくなる可能性があります。
実際に『日本人の食事摂取基準(2025年版)』では、
脂質異常症の重症化予防の観点からは
200mg/日未満に留めることが望ましい
と記載されています。
持病がある方、数値を指摘されている方は、必ず医師や管理栄養士の指示を優先してください。
まとめ
- コレステロールが多い食材は、卵・魚卵・魚介類・内臓類など
- 健康な人であれば、食事由来コレステロールをに制限する必要はない
- ただし、脂質異常症などの持病がある場合は別対応が必要
「コレステロールが多い=不健康」という単純な図式は、
すでに科学的には成り立っていません。
数字やイメージだけで避けるのではなく、
体の仕組みと前提条件を理解した上で判断することが大切です。







