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ひろゆきの健康知識は本物なのか、栄養士が検証|マーガリン・トランス脂肪酸・健康寿命

2025 12/20
December 20, 2025
関口アキラ

お悩み相談配信やコメンテーターとして人気な元2ch管理人、ひろゆき氏。
私もちょくちょく動画の切り抜きや配信のアーカイブを見て楽しませてもらっています。

ひろゆきの話は、内容を参考にするというより、
面白い考え方をするなあと、物事の捉え方、思考プロセスを参考にしています。

その中で食品や栄養に関する質問にも回答されていました。
幅広い知識をもっており、他ジャンルの質問に回答しているが故
たまに間違った知識を披露してしまうこともあるひろゆき氏。

切り抜き動画の言っている内容は本当なのか、栄養士がデータをもとに検証したいと思います。

目次

ひろゆきの主張を要約すると何を言っているのか

「日本の食品添加物はアメリカの4倍認可がある、貧しい人は健康な食品を手にできないのか(要約)」
という視聴者からの質問に対して回答するという動画。

ひろゆきの主張は以下の通り

  • 「日本は添加物が多い=危険」という考えは短絡的(マーガリンの例)
  • 「海外で違法=危険」ではない(鰹節の例)
  • 食品添加物の是非は平均寿命などの「結果」で判断すべき
  • アメリカの基準の方が健全ではない(ピザの例)
  • 目の前にある科学的なデータで判断するべき

この内容に間違いがないか検証していきます。

①「日本は添加物が多い=危険」という考えは短絡的

マーガリンはアメリカでは使用禁止だが日本では許可されている

あのーまずその食品添加物で例えばトランス脂肪酸の話をしていると思うんすよね。マーガリンっていうのが他の国では違法だけど日本では許されてますと。でそれってトランス脂肪酸っていうのが体に悪いよねっていうのがあるんですけど、日本は認可されています。で、これだけを聞くと外国で禁止されているトランス脂肪酸を日本は許可している体の悪いものを許可しているという風にとらえがちなんですけどこれは間違いです(原文)

視聴者が例に出した「マーガリン」からトランス脂肪酸の話がスラスラできるのはさすがだと思いました。
確かに2021年からアメリカでは食品での使用が禁止されています。
日本では、食品中のトランス脂肪酸について、表示の義務や濃度に関する基準値はありません。

米国は、加工食品中のトランス脂肪酸の含有量の表示を義務づけています。また、2015年6月17日に、部分水素添加油脂の食品への使用規制を公表し、2021年1月からはすべての食品において使用が禁止されました。なお、天然由来のトランス脂肪酸だけを含む油脂や飼料はこの規制の対象外とされております。

農林水産省 トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況 米国

こうした禁止や規制を行う国は、WHOによると、2015年には7か国でしたが、2020年には14か国になり、2024年10月時点では60か国に達しています。農林水産省 トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況

トランス脂肪酸の含まれるマーガリンはアメリカでは禁止だが、日本では許されているは本当


トランス脂肪酸の問題は海外の方が深刻

でも日本人はそこまで牛肉とか豚肉を食べてないので、トランス脂肪酸を食べても健康被害になる割合が少ないので、アメリカフランスに比べるとトランス脂肪酸で許諾されている量が多いです、結果としてマーガリンが合法です、という話なんです。なので健康被害があるかどうかでいくと、トランス脂肪酸の健康被害のある人の量でいくと、日本人よりはアメリカ人とかヨーロッパフランスの人の方が、トランス脂肪酸の結果の健康被害の被害者は多いです。(原文)

これもその通りで、日本人は肉・脂肪の摂取量が欧米より少ないです。
そしてすでに飽和脂肪酸や脂質を大量に摂っている欧米では追加のトランス脂肪酸がリスクになりやすく、そのためマーガリンを始めとするトランス脂肪酸を含む製品を禁止しています。

<トランス脂肪酸の平均摂取量 エネルギー比>
○アメリカ:2.2%(5.6g)   ○日本:0.3%(0.7g)
食品安全委員会 食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価について

WHOが推奨しているのは、1%未満に抑えることであり、これは 2000 カロリーの食事であれば 1 日あたり 2.2 g 未満となります。アメリカでは平均で2倍、日本では半分以下です。

日本人は肉・脂肪の摂取量が少ないので、マーガリンを食べたところで問題がない。
トランス脂肪酸の問題は海外の方が深刻、は本当


②「海外で違法=危険」ではない(鰹節の例)

たとえば鰹節はヨーロッパに輸出することができない

で、「海外で禁止されてる添加物が日本ではOKだよね」って話の例として、鰹節の話があります。鰹節って、日本からヨーロッパに輸出しようとすると基本的に違法なんですよ。でもそれは「鰹節が危険だから」じゃないんです。
理由はシンプルで、ヨーロッパでは“安全だと証明されてない食品は全部アウトだからです。
鰹節も同じで、「安全かどうか」をヨーロッパの機関に登録して、検査して、認証を取れば合法にできるんです。
でも、そんなお金をかけてまで鰹節を食べたいヨーロッパ人がいない。だから誰も申請してない。結果として「未調査=違法」になってるだけなんです。
つまり、分からないものはダメ、調べてないものはダメというルールなだけで
危険だから禁止されてるわけじゃないです。
(要約)


主張は正しいですが、例えに出した例が少し事実と異なります。

伝統的な鰹節では「焙乾」という工程があります。
その工程で発生する「PAH(多環芳香族炭化水素類)」という物質が
EUや中国の基準に引っかかってしまうようです。

しかし焙乾を調整して、このPAHを抑えた鰹節であれば輸出は可能になります。
参考:鰹節の輸出が難しい国とその理由を徹底解説

ヨーロッパ(EU)へは「伝統的な鰹節」は輸出できない、というのが正しい

余談ですが日本酒も輸出には苦労したそうですよ。
普通は毒を出すカビ菌を日本では飼い慣らして作った酒なので、
他国では信じられなかったそうです。

くさやは外国に持って行ったらアウト?

くさやの干物とかも同じで、日本では普通でも、海外に持って行ったら普通にアウトになります。
なので、「日本で合法なものが他の国で違法だから危険」って考え方そのものが間違いなんです。それは危険性の問題じゃなくて、食文化が違うだけ、調査してるかしてないかの違いなんですよ。
(要約)

くさやについては、現状特に禁止されていません。
調べたところ、普通に海外通販で買えるようでした。

好き好んで買う人なんてほぼいないからお目溢し状態かもしれませんが
海外に持って行ったらアウト、というのは断言できません。

くさやの干物を海外に持って行ったら普通にアウト、は間違い。
でもトランクに入れたら空港で止められそう

他の国で違法だから危険って考え方そのものが間違い

「日本で合法なものが他の国で違法だから危険」って考え方そのものが間違いなんですよ。

これについては全くの同意です。国により事情や考え方が異なります。


③ 食品添加物の是非は平均寿命などの「結果」で判断すべき

じゃあ日本人が食べているものって、安全なのか不健康なのかって話なんですけど、結論から言うと、日本人って世界でもトップクラスに長生きなんですよね。
寿命で見ると、今はスペインに抜かれたりもしてますけど、
日本人はだいたい世界で2位とか3位とか、その辺にずっといる国です。
じゃあ健康寿命はどうかっていうと、日本人って死ぬ前に寝たきりになる期間がだいたい3年くらいで、健康寿命で見ても世界で1位か2位くらいなんですよ。たまにシンガポールが1位になることはありますけど、その時でも日本は2位とかそのレベルです。

つまり、長く生きて、しかも元気な期間がめちゃくちゃ長い国なんですよ。
で、人間って何でできてるかって言ったら、ほぼ食べてるものでできてるわけで、あとはせいぜい太陽光でできるビタミンDくらいです。
じゃあ、寿命も長くて、健康寿命も長い日本人が、不健康なものを食べ続けてる国なのかって言われたら、そんなわけないですよね。だから結論として、日本人が普段食べている食事や生活習慣って、世界的に見てもかなり健康的って言っていいと思います。
(要約)

2025年のWHO発表の世界平均寿命ランキングです。

順位国名平均寿命
1位日本84.46歳
2位シンガポール83.86歳
3位大韓民国83.80歳
4位スイス83.33歳
5位オーストラリア83.10歳

2021年の健康寿命ランキングです

順位国名平均寿命
1位シンガポール73.65歳
2位日本73.40歳
3位大韓民国72.45歳
4位アイスランド71.37歳
5位ルクセンブルク71.23歳

日本人の平均寿命は、世界的に見て高く1985年から2010年まで26年間連続で世界第1位をとったこともあるほどです。

スペインも長寿大国として知られていますが、世界ランキングで1位だったことはありません。
その代わり、ヨーロッパでの平均寿命はスペインが1位だそうです。
この知識と混ざってしまったんでしょうね。

細かい部分の間違いはあれど、主張したい
「寿命が世界でトップの日本人の食習慣が悪いわけがない」
という部分は筋が通っています。

平均寿命や健康寿命が世界でトップの日本人の食習慣が悪いわけがない、はその通りと言える。


④ アメリカの基準の方が必ずしも健全ではない

アメリカって健康がどうこう言ってるんですけど、
実はアメリカではピザが野菜なんですよ。意味わかんないでしょ。
もともと「子どもには野菜を食べさせなきゃいけない」って法律があって、
学校給食では一定量の野菜を出さなきゃいけないって決まったんです。
そしたらピザ会社が、
「給食にピザ出したい」って言い出して、
じゃあピザを野菜にしよう、って話になったんですよ。
その理屈が、
小麦粉は植物の小麦からできてますよね、
トマトソースも植物ですよね、
野菜って植物からできたものを食べることですよね、
じゃあピザの大部分は植物だから野菜でしょ、っていうロジックです。
油とかチーズは乗ってるけど、大半は植物由来だからピザは野菜、
だから給食で出しても合法、ってなった国なんですよ。
そういう基準の国と比べたら、
日本の食べ物や食品添加物がどうこう言われてるけど、
正直、アメリカに比べたら日本のほうがよっぽどまともだと思いますよ。
(要約)

アメリカでは「ピザは野菜」という扱いがされるというのは本当でしょうか。

経緯として、まずアメリカの給食では「大さじ2杯のトマトペーストは野菜とカウント」とされてきました。
たとえばトマトソースの入ったチーズだけのピザでも、学校給食的には「野菜を摂取している」とカウントされていたんです。

流石にそれはおかしいだろうということで、2011年、米国議会が学校給食の栄養基準変更しようとしました。
しかしアメリカ冷凍食品協会(AFFI)などのロビー活動によりそれを阻止され、ピザのトマトペースト(2 tbsp)を野菜の1回分として扱う既存の規則を維持することが合意されています。

このため、ピザが「野菜」とされる(あるいはそのように誤解される)状況が話題になりました。
同時期にフライドポテトも野菜扱いされていますね。


日本の考え方としては、ピザやフライドポテトは野菜の成分が含まれていないことはないが、
野菜に期待している栄養素(ビタミンやミネラル、食物繊維など)には乏しいく、野菜扱いはできない、ですね。

アメリカではピザを食べれば野菜を食べたことになる、は本当
なんならフライドポテトも野菜

参考:House protects pizza as a vegetable


⑤ 目の前にある科学的なデータで判断するべき

日本の添加物が危険だとか言ってる政党とかいますけど、
アメリカと比べたら日本は全然まともなんですよ。
それの証明は何かって言ったら、
日本人の寿命とか健康寿命を見れば一発です。
もうデータで証明されてるんです。
陰謀論みたいな話に乗るより、
日本人がどうやって健康に暮らしてるかを見たほうがいい。
アメリカだと白人男性が60歳くらいで死ぬことも普通にあるんですよ。
日本では70歳まで働けとか言ってるのに、ですよ。
それと比べたら、
日本の食生活や基準のほうがどう考えてもまともじゃん、
って話です。
だから、変な主張に振り回されるんじゃなくて、
ちゃんと目の前の科学的データで判断したほうがいいと思います。
(要約)

米国全体の平均寿命は78.4歳(2023年)世界では40位となっています。
アメリカだと60歳で亡くなることも普通にある、というのは流石に誇張しすぎかと思います。

しかし日本の84.3歳(2023年)と比べれば6歳も低くなっています。
要はそのくらいアメリカと日本で寿命に差があるよ、ということを主張したい
…のだと好意的に解釈しました。


ひろゆきの伝えたい部分である
「変な主張に振り回されるんじゃなくて、
ちゃんと目の前の科学的データで判断したほうがいい」

というのは激しく同意します。

特に添加物に対する主義主張は何の根拠も持たないものが多く、聞いていて呆れます。


まとめ

今回は趣向を変えて、ひろゆきの切り抜きについて栄養士視点でツッコミを入れる記事にしてみました。

細かい部分やニュアンスに齟齬はあれど大枠は間違えてないと感じました。
あれをリアルタイムでパッと喋れるのは流石にすごいなと舌を巻くばかりです。

だからと言って、ひろゆきの言うことを全て盲信するのは絶対にやめた方がいいです!笑
話半分に聞いたり、私のように「面白い考え方をする人だな」くらいに聞くのが一番かと思います。

栄養学
トランス脂肪酸 マーガリン 寿命 栄養学 検証

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この記事を書いた人

関口アキラのアバター 関口アキラ 管理人

調理師、栄養士、フードスタイリスト、カメラマン。「食」にまつわる幅広い分野で活動中。飲食店の立ち上げやメニュー開発、料理撮影、メニューデザインなど多様な現場に携わる。
食の楽しさを伝えるメディア「趣食研究所」を運営し、記事の執筆・撮影・編集を一貫して手がける。科学的根拠に基づいた発信を大切にしています。
http://se-akira.com/

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