2025年1月、「赤色3号」という食品添加物が
アメリカで禁止されることになったというニュースが報じられました。
赤色3号はグミやキャンディ、清涼飲料水をはじめ、
私たちの身近なさまざまなお菓子や飲料、加工食品に使われている合成着色料の一種です。
一方で「発がん性の可能性がある添加物」と耳にしたことがある方もいるかもしれません。
果たして赤色3号は本当に危険なのでしょうか?
本記事では、赤色3号がアメリカで禁止に至った経緯と、あまり心配しなくていい理由を栄養士が解説します。
アメリカで赤色3号が禁止!その理由は?

赤色3号、米国での禁止決定
2025年1月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は食品や経口医薬品に使用されている赤色3号(米国名:FD&C Red No.3)の使用許可を取り消すと発表しました。食品メーカーには2027年1月までに、飲み薬のメーカーには2028年1月までに赤色3号を使わない製品への切り替えが求められています。
実はアメリカでは今から30年以上前の1990年に、赤色3号は化粧品や皮膚に塗る医薬品への使用がすでに禁止されていました。当時、動物実験による健康影響が懸念されたためですが、それにもかかわらず食品への使用は長らく認められ続けてきたのです。今回ようやく食品への使用も禁止となり、「ようやくか」と感じる専門家もいるようです。
禁止の背景:動物実験とデラニー条項
なぜ今になってアメリカで赤色3号が禁止されたのでしょうか。
その背景には、過去の動物実験データとアメリカ特有の法律上の理由があります。
1980年代の研究で、高用量の赤色3号を与えられた雄ラットに甲状腺の腫瘍が発生したとの報告がありました。この結果を受け、アメリカでは「デラニー条項」という法律(1958年に制定)に基づき「動物でも人でも発がん性が確認された物質は食品添加物として使用できない」と定められているため、法的整合性をとるために赤色3号を禁止せざるを得なくなったのです。
はっきり言って、高用量での動物実験は極端なものです。高用量与えれば水でも塩でも何かしら異常は出てきます。
今回の措置は赤色3号がただちに深刻な危険をもたらすという新たな証拠が出たからではなく、「動物で発がん性が確認された以上、法律上認められない」という建前によるものなのです。
人へのリスクは低いが法律でNGに
興味深いことに、アメリカ食品医薬品局(FDA)自身も「現在の赤色3号の人の摂取量から考えて、低いレベルの摂取でヒトに甲状腺腫瘍を起こす可能性は低い」という国際的な専門家機関(JECFA)の結論に同意しています。また「赤色3号の使用が人の健康に影響を及ぼすという主張は科学的に裏付けられていない」とも付け加えています。
つまり、通常の量を食べる分には心配は小さいものの、法律上「動物実験で癌が出た色素」を食品に使い続けることはできないため、規制が強化されたというのが米国での経緯です。
日本では大丈夫?使用が続けられる理由

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日本では今も使用可能
それでは、日本では赤色3号はどうなっているのでしょうか。
結論から言えば、赤色3号は現在も日本で食品添加物として使用が認められており、和菓子や焼き菓子、漬物、ハム・ソーセージ類、魚肉の練り製品(かまぼこ等)などで利用されています。
耐熱性や発色の鮮やかさといった特性から食品の見た目を良くする目的で使われてきましたが、近年はメーカー各社で天然由来の着色料への切り替えが進み、赤色3号の使用量自体は減少傾向にあります。
とはいえ、2025年初頭のアメリカFDAの発表を受けて日本の消費者庁もQ&Aを公表し、「科学的見地から食用赤色3号の使用について検討していく予定」としています。現時点では公式に使用禁止にはなっておらず、必要に応じて今後検討していく可能性がある、というスタンスです。
「安全性に懸念なし」という日本の姿勢
日本で赤色3号の使用が続けられている背景には、
現在の使用範囲であれば健康面のリスクはないとする科学的評価があります。
2025年2月に開催された食品安全に関する専門部会でも、「通常の使用の範囲内では赤色3号の安全性上の懸念はない」と結論づけられています。国際的にもJECFA(FAO/WHO合同の食品添加物専門家会議)は「低い摂取量であればヒトに甲状腺腫瘍を起こす可能性は低い」と評価しており、欧州連合やカナダなど多くの国でも一定の基準のもとで赤色3号の使用が認められています。
日本を含む各国の規制当局は、動物実験の結果だけで直ちに禁止とするのではなく、
人が実際に摂取する量で安全かどうかを重視して判断しているのです。
実際、赤色3号には一日あたり摂取しても安全とみなされる「許容一日摂取量(ADI:毎日一生摂っても大丈夫な量)」が0〜0.1 mg/kg体重と定められていますが、日本人の平均的な摂取量はそのわずか0.05%程度(ADIの数千分の1)に過ぎないことが調査で分かっています。このようにごく微量しか摂っていない現状では、赤色3号そのものよりも過度な心配の方が健康への影響が大きいと言えるかもしれません。
赤色3号が含まれる食品の例
赤色3号は具体的にどんな食品に使われているのでしょうか。
かき氷のいちごシロップやゼリー、紅生姜、赤いチャーシューやハム・ソーセージ…
などと思って、具体的にどの商品に使用されているか調べてみましたが、なかなか見つかりませんでした。
赤色3号以外の別の色素を使っているほか、最近の商品は天然色素を使用した商品の方が多かったです。
販売している食品に使われていた色素:
赤色2号・赤色40号・赤色102号・赤色106号・紫コーン色素・赤ビート色素・赤キャベツ色素・紫イモ色素・紫コーン色素・紅花色素・コチニール色素
やっとかまぼこで使用されている商品見つけました。かまぼこスライス 1本 5mmスライス
調べた限りでは赤色3号はあまりお目にかかれない色素かなと感じました。
赤色3号の健康への影響は?科学的に見る安全性
動物実験では発がん性の報告
前述のとおり、赤色3号は過去の動物実験において高容量を投与されたラットで発がん性(甲状腺腫瘍)が報告されています。
数字で言うと、ラットに腫瘍が見られたのは体重1kgあたり2,464 mgという途方もない量を毎日与えた場合で、これは人の推定摂取量の400万倍以上にも相当する超高用量でした。
もちろん、人間が日常生活でこれほど大量の赤色3号を摂取することは現実的にあり得ません。また、そのような極端な条件下で生じたラットの発がん結果をそのまま人間に当てはめることはできないとも指摘されています。赤色3号がラットで腫瘍を起こした一因は、ラットに特有の甲状腺ホルモンのバランスの乱れにあると考えられていますが、人間の甲状腺はラットとは仕組みが異なるため同じように腫瘍ができる可能性は極めて低いのです。
通常の摂取量ならリスクはない
国際的な科学的見解も踏まえると、赤色3号は通常の食品に含まれるごく微量を摂取する範囲では健康へのリスクはほとんどないと考えられています。
JECFAなどの専門機関は繰り返し評価を行い、先述のように安全とみなせる摂取許容量(ADI)を設定しています。
日本の消費者庁も「赤色3号の使用が人の健康に影響を及ぼすという主張は科学的に裏付けされたものではない」との立場を表明しており、2025年2月時点で「通常の使用であれば安全性に懸念はない」と公式にコメントしています。
要は、着色料として認められている範囲内で普通に食品を食べている分には、赤色3号が直接健康に悪影響を及ぼす可能性は極めて低いというのが専門家の共通した見解なのです。
まとめ: 過度に心配せず冷静に向き合おう
アメリカで赤色3号の使用禁止が決まったと聞くと驚くかもしれませんが、その背景には「法律上の建前」が大きく、現在の使用量でただちに危険というわけではないことがわかりました。
日本を含め多くの国では、赤色3号は厳格な安全審査のもとで認可されており、私たちが普段口にする量であれば必要以上に怖がる必要はないとされています。そもそも赤色3号が含まれた食品はそれほど一般に出回っているものでもないと言うこともわかりました。
もちろん「添加物はできるだけ避けたい」と考えるのも自然なことですから、気になる方は成分表示を確認し、人工着色料不使用の食品を選ぶといった工夫もよいでしょう。
しかし、赤色3号が入っている食品だからといって健康被害が起こるわけではありません。
大切なのは、最新の科学的知見に基づいて正しく理解し、過度に心配しすぎず冷静に食品と付き合っていくことです。
参考
米国食品医薬品局(FDA)による赤色3号の使用禁止について
食用赤色3号のQ&A:消費者庁
As the US bans controversial additive Red Dye 3 – a dietician explains what it is and why it’s so harmful


