人工甘味料については
「太りやすい」「血糖値を上げる」「インスリン抵抗性を悪化させる」
といった主張が繰り返し語られています。
結論から言います。
人工甘味料そのものが、体重増加の原因になるとは言えません。
以下、よくある疑問にQ&A形式で答えます。
Q1:人工甘味料は太るの?
結論:人工甘味料自体で太ることはありません。カロリーがないから。
体重が増えるかどうかは、人工甘味料を使ったかではなく、総摂取カロリーが増えたかで決まります。
砂糖を人工甘味料に置き換えた場合の実験も数多く行われています。
介入研究(RCT)では
- 体重は減少
- もしくは変化なし
という結果が一貫して報告されています。
Q2:ゼロカロリーなのに太った人がいるのはなぜ?
人工甘味料が原因ではなく、行動の問題です。
よくあるのが
- 「ゼロだから大丈夫」と食事量が増える
- 甘味を理由に間食が増える
といった代償行動です。
これは人工甘味料の性質ではなく、使い方の問題です。
「太りやすい人が人工甘味料を選びやすい」=「太りやすい人は甘いものが好き」というだけのことです。
Q3:人工甘味料は血糖値を上げるの?
結論:人工甘味料自体は血糖値を上げません。
人工甘味料は糖質ではないため、
それ自体が血糖値を直接上昇させることはありません。
ただし、ここでよく引用されるのが次の説です。
Q4:スクラロースがインスリン抵抗性を上げるって本当?
人工甘味料を口にした瞬間に、身体が糖を摂取した誤認してインスリンを出してしまう。
結果として太りやすい体質になってしまい、血糖値が上がってしまう。
こんな説よくみませんか? この元ネタとなっているのがこちらの論文です。
Sucralose decreases insulin sensitivity in healthy subjects (RCT)
簡単に言うと
- スクラロースという人工甘味料の摂取後に
- インスリン反応が変化した(糖を食べたと身体が錯覚した)
という研究結果です。他にも似たような研究結果がいくつかあります。
この結果をみると、人工甘味料食べたら身体が錯覚してしまうんだ、と不安になることでしょう。
しかし、この実験は
- 高用量のスクラロース
(実験では許容一日摂取量の15%を摂取、しかし日本人1日平均は0.12%しか摂取しない。100倍量を毎日摂取した実験) - 空腹時に単独摂取
(普段そんなことはしない) - 被験者数が少ない
(被験者:約17名、期間:2週間、実験としては小規模)
といった点であまり重要視されていません。参考程度です。
また、似たような実験で「影響はなかった」という結果になっているものも多く、未だ議論が続いています。
現時点では、
通常の摂取量でスクラロースがインスリン抵抗性を慢性的に悪化させ、体重増加につながる
と示した、再現性の高いヒト研究はありません。
Q5:世界的には人工甘味料をどう評価しているの?

WHO(世界保健機関)は
「人工甘味料の使用に関するガイドライン」で次のように述べています。
- 長期的な体重減少目的としての使用は推奨しない
- 人工甘味料が健康被害を引き起こす証拠は不十分
- 甘さの依存を避け、根本的な食習慣の改善を
何か言い方がもどかしいですね。簡潔にしてみます。
要はWHO(世界保健機関)の言いたいことは
人工甘味料は普通に使えば問題ないけど、一応ほどほどにな
と言うことです。
食事全体の質を改善せず、甘味だけを置き換えても意味がない
という、極めて妥当な指摘です。何事もバランスよくです。
参考:
人工甘味料の使用に関する WHO ガイドラインについて考える:独立行政法人農畜産業振興機構
WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control in newly released guideline:WHO
Q6:じゃあ人工甘味料は使うべき?避けるべき?
糖質過多の人にとっては、有効な選択肢です。
また、過度に恐れて避ける必要は全くありません。
「何か甘いもの飲みたいな、でも体重気になるからノンシュガーの甘い飲料にしよう」
と切り替えるだけで、炭酸飲料500mlあたり50~60g含まれる砂糖を避けることができます。
砂糖を摂りすぎている人が人工甘味料に置き換えることは、合理的な戦略です。
…とはいえ、飲み物は甘くないと飲めない、甘さが足りなく感じる、という味覚の麻痺も起こりえます。
何事もほどほどが一番です。
自制の効かない子供に対しては親が管理する必要もあるでしょう。
甘い飲み物しか飲めなくなる、なんてことも聞きますし。かなり稀有な例でしょうが。
まとめ
- 人工甘味料そのものが体重を増やすことはない(カロリーがないため)
- 血糖値を直接上げることもない(インスリンへの影響は限定的)
- WHOの勧告は「魔法の痩せ薬ではない」という注意喚起であり、安全性を否定するものではない
人工甘味料は世界中の機関で安全性テストが行われています。
過度に危険性を煽った情報に踊らされないようにしてください。
甘いもの取りすぎたと思ったら、たまにはノンシュガーのドリンクに置き換えてみる。
そのくらいの距離感で、日々の食事のサポート役として考えるくらいがちょうど良いでしょう。


