スーパーでよく見かける「コレステロールゼロ」という表示。「なんとなく身体に良さそう」と思って選んでいませんか?
でもちょっと待ってください。その“ゼロ”は、本当に意味があるのでしょうか?
その“コレステロールゼロ”は本当なのか?
そもそもコレステロールは動物性脂肪に含まれるものです。植物にコレステロールはありません。代わりに植物ステロールというものが存在しています。植物ステロールを摂っても体内でコレステロールに変換されることはありません。
参考:佐藤 斉 “植物ステロールの生理機能と安全性について” オレオサイエンス 第3巻 第8号(2003)
つまり、よく見かけるサラダ油・ごま油・オリーブ油などの植物性油脂にはそもそもコレステロールは含まれません。
「この砂糖、なんと塩分ゼロ!」と書いてあるのと同じレベルで意味のないことです。
同じく植物性油が使用されているマーガリンやドレッシングも本来コレステロールは含まれません。”ゼロ”表示に惑わされないでください。
ちなみに”コレステロールゼロ”でも”カロリーゼロ”というわけではありません。カロリーはしっかりあります。
サラサラオイル、ヘルシーオイル、リセットオイル、コレステロールゼロオイル…こんなのは言葉の響きだけでなんの意味もありません。
そもそも植物油にコレステロールは含まれない
コレステロール“ゼロ”と表示できる条件とは?
消費者庁の「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」第5版(令和7年4月)によると
「100gあたり5mg未満」で“ゼロ”と表示可能となっています。
ちなみに計算したところラードなら約5.3gで、コレステロール5mg相当になります。
もちろん他にも条件ありますし一概には言えませんが、“完全ゼロ”ではないということは知ってください。
卵黄だとさらに濃縮されており、わずか0.4gで5mg相当です。100gあたり卵黄0.4g以上入っていたらコレステロールゼロと言えなくなる、と考えると厳しい条件なのではないでしょうか。

👉 ちなみにこの表から分かることは
・100gあたり5kcal未満なら「ゼロカロリー」
・40kcal(飲料なら20kcal)未満なら「カロリーオフ」
・100gあたり糖類0.5g未満なら「糖類ゼロ」
と言えることです。便利な表ですね。上記ガイドラインの52Pにあります。
コレステロールゼロは本当にゼロではない
コレステロールを多く含む身近な食材とは?
コレステロールは脂に多く含まれるイメージがありますが、別にそんなことはありません。
一番多いのは鶏卵です。コレステロールは細胞膜を作るのに重要な役割を果たします。これから細胞を多く作る卵にはこういった細胞の材料が豊富に蓄えられています。なのでコレステロールが多いんですね。同じ理由でキャビアやたらこなどの魚卵も多いです。
イカ、エビ、イワシも含有量多めです。すばやく泳ぐ高性能な生き物は発達した神経や筋肉を保つため、細胞膜の材料となるコレステロールが豊富に含まれています。また、軟体動物特有の代謝や内臓成分の影響もあり、コレステロール含有量は魚類よりも高めです。
鶏や豚のレバーや腎臓にも多く含まれています。内臓は体の中でもっとも働き者の器官。その細胞膜や代謝活動に必要な材料として、コレステロールは欠かせません。特に肝臓はコレステロールそのものを合成する“工場”でもあるため、食べれば「作りたてホヤホヤのコレステロール」も一緒に摂ることになるわけです。内臓にコレステロールが多いのは、むしろ合理的なんです。
👉別記事で解説しますが、コレステロールが多いから食べない方がいいということは断じてありません。
実はコレステロールは食べても食べなくても関係ないものだったのです。
本当にコレステロール“ゼロ”な商品って?
「コレステロールゼロ」を謳うということは、もともとコレステロールが多く含まれていたにもかかわらず企業努力でゼロにした、という商品であるべきです。そんな商品を紹介してみます。
キユーピーゼロ ノンコレステロール(マヨネーズ)

👉 コレステロールの多い卵黄を抜いたものかと思いきやちゃんと使用していました。熱と圧縮をかけた二酸化炭素にはコレステロールが溶けやすいという性質を利用したものだそう。すごい。https://www.kewpie.co.jp/products/product/mayonnaise/mayonnaise/4901577092381/
ヘルシーシュレッド(ピザ用チーズ)

👉 これは動物性の食材を使わず、植物性油を使用のチーズ風食品です。動物性のものが入っていないので当然コレステロールはゼロ。乳製品食べられない人にも良さそうですね。
まとめ
「コレステロールゼロ」という言葉に、なんとなく安心感を抱いてしまう人も多いかもしれません。
しかし実際は、そもそも含まれているはずのない食品に記載されていることがほとんどです。
また、表示のルールを知れば“ゼロ”の意味が少し変わって見えてきます。
大切なのは、見た目の「ヘルシー」に惑わされない知識を身につけることです。
そして繰り返しになりますがコレステロールが多いから食べない方がいいということではありません。
コレステロールは食べても食べなくても体内の量にあまり関係ないものです。