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焦げたステーキ6億枚? 焦げと発がんの科学的な距離感

2025 9/10
栄養学
栄養学
September 10, 2025
関口アキラ

「焦げを食べるとがんになる」と聞いたことはないでしょうか。実際、焦げた部分には発がん性が指摘される化合物が含まれることが知られています。ただし、その危険性は一般にイメージされているほど単純ではありません。本記事では、焦げとがんの関係について科学的知見を整理します。


目次

焦げで生じる化合物

ひとくちに「焦げ」といっても、肉や魚などタンパク質を多く含む食品と、パンやシリアルなど炭水化物主体の食品では、生成される化合物が異なります。

肉や魚の焦げ

アミノ酸・クレアチン・糖が高温で反応し、

  • 多環芳香族炭化水素(PAH)
  • ヘテロサイクリックアミン(HCA)

が生成されます。

パンやシリアルなど炭水化物の焦げ

  • 主に 多環芳香族炭化水素(PAH) が生成されます。

PAHは動物性・植物性を問わず「高温調理」で発生するため、肉や魚だけでなく以下のような食品からも検出されます。
例:燻製食品、揚げ物、グリル野菜、カカオ製品、粉ミルクなど。

また、小麦粉やパン、シリアルなどでは、加熱肉の1000倍以上の濃度が報告される場合もあります。。
PAH、HCAどちらも実験動物に高用量を与えると発がんが確認されています。

参考:
高温調理された肉に含まれる化学物質とがんリスク:アメリカ国立がん研究所(翻訳)
多環芳香族炭化水素と関連する職業上の曝露:アメリカ国立医学図書館(翻訳)


ヒトにおけるリスクの現状

「焦げを食べると本当にがんになるのか?」という疑問に対する答えは、現時点では「通常の食生活で心配する必要はない」ということです。

なぜなら、動物実験でがんを引き起こしたHCAの量は、食品に含まれる量の何万倍〜何十万倍にもなるからです。


試しに数字で考えてみましょう。

  • よく焼いたステーキ1枚に含まれるHCAを 約10ng(=0.00001mg) と仮定。
  • 動物実験では、マウスに 20〜200 mg/kg/日 程度のHCAを長期にわたり投与し、がん発生が確認されています。
  • 仮に中間値の 100 mg/kg/日 を体重60kgの人に換算すると、1日あたり6,000 mg のHCAが必要です。
  • これはステーキにすると 約6億枚/日、1年間では 2,190億枚 という非現実的な量に相当します。

もちろん、これは単純化した机上の計算であり、マウスと人間では代謝も感受性も異なります。ですが、この例が示すのは 「動物実験で使われる量は、日常的に食べる量とかけ離れている」 という点です。

焦げたステーキを毎日6億枚、1年食べるとがんになる

この量は無理

参考:
Puangsombat K, Gadgil P, Houser TA, Hunt MC, Smith JS. Occurrence of heterocyclic amines in cooked meat products. Meat Sci. 2012 Mar;90(3):739-46. doi: 10.1016/j.meatsci.2011.11.005. Epub 2011 Nov 9. PMID: 22129588.
調理条件により幅広く変動。よく焼いた牛肉の平均は約 8.92 ng/g。


Pathological Studies on PhIP and DSS-Induced Colon Carcinogenesis in Mice
C57BL/6JマウスにPhIP(200 mg/kg BW)を単回ig投与した後 〜 盲腸および結腸に腺腫および高分化腺癌が発生し


焦げをどう考えるべきか

少量の焦げを食べても、すぐにがんになるわけではありません。発がんリスクは、食品全体の摂取パターンや喫煙・飲酒など生活習慣の影響と複合的に関わっています。

したがって「焦げ=危険」と極端に恐れる必要はありません。ただし、焦げそのものに発がん性物質が含まれるのは事実です。

現実的な対応としては、

  • 焦げた部分は無理に食べない
  • 調理法を工夫して焦げを減らす
  • バランスの良い食生活を維持する

といった程度の意識で十分です。

そもそも食品用の竹すみパウダーとかあるくらいですし、そこまで心配しなくても大丈夫です。


まとめ

  • 焦げには発がん性物質(PAH・HCA)が含まれる。
  • 動物実験ではリスクが確認されているが、ヒトでの明確な証拠は不足。
  • 肉に限らず多くの食品に存在しており、パンやシリアルの方が多い場合もある。
  • 焦げを「絶対悪」とするよりも、過剰摂取を避けつつ全体的な食生活を見直すことが大切。

参考:

  • Charles William Jameson.“Chapter 7Polycyclic aromatic hydrocarbons and associated occupational exposures”. National Library of Medicine. PMID: 33979079
  • Knize MG, Felton JS. Formation and human risk of carcinogenic heterocyclic amines formed from natural precursors in meat. Nutr Rev. 2005 May;63(5):158-65. doi: 10.1111/j.1753-4887.2005.tb00133.x. PMID: 15971410.
  • Puangsombat K, Gadgil P, Houser TA, Hunt MC, Smith JS. Occurrence of heterocyclic amines in cooked meat products. Meat Sci. 2012 Mar;90(3):739-46. doi: 10.1016/j.meatsci.2011.11.005. Epub 2011 Nov 9. PMID: 22129588.
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この記事を書いた人

関口アキラのアバター 関口アキラ 管理人

調理師、栄養士、フードスタイリスト、カメラマン。「食」にまつわる幅広い分野で活動中。飲食店の立ち上げやメニュー開発、料理撮影、メニューデザインなど多様な現場に携わる。
食の楽しさを伝えるメディア「趣食研究所」を運営し、記事の執筆・撮影・編集を一貫して手がける。科学的根拠に基づいた発信を大切にしています。
http://se-akira.com/

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