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「砂糖依存症」は存在しない?でも甘いものの摂りすぎが危険な理由

2025 12/10
栄養学 調味料について
ダイエット 栄養学 砂糖
December 10, 2025
関口アキラ

2025年5月27日(火)放送の日テレ「世界仰天ニュース」にて砂糖依存について取り扱われていました。

16kg減量して30kg台になった女性が差し入れのドーナッツを食べた結果、甘いものが止まらなくなってしまう。医師に相談して「オーソモレキュラー療法」という治療で回復した、というお話。
https://tver.jp/episodes/epkcd2at1qg?p=4337

SNSでちょっと話題になっていたので取り上げてみました。
砂糖は依存症になる程怖いもの?オーソモレキュラー療法って?その辺りを解説していこうと思います。

目次

「砂糖依存症」は正式な病名ではない

Image by 🌸♡💙♡🌸 Julita 🌸♡💙♡🌸 from Pixabay

医学的な診断名として「砂糖依存症」や「糖質依存症」というものは存在しません。精神疾患の診断基準(DSM-5)やWHOでも未採用です。甘いものはやみつきになってしまうため、このような言葉が作られたのでしょう。

wikipedia : 砂糖依存症

「依存症」「中毒」「ドラッグ」など、センセーショナルなワードと組み合わせてSNSやテレビ番組でバズワード化しているだけです。実際に病院で「砂糖依存症」と診断された人はいません。


「砂糖はやめられない」そのメカニズムを解説

Image by DiamondRehabThailand from Pixabay

とはいえ、「依存症」「中毒」と表現されるほど、甘いものがやみつきになるのは誰もが体感として理解できます。

それは一体なぜ起こるのでしょうか? ここでは、そのメカニズムをざっくりと解説します。原因は主に以下の3つです。

  • ドーパミン報酬系の刺激(脳が「快感」を感じ、繰り返すよう命令する)
  • 血糖値のジェットコースターが「もっと食べたい」という強い欲求を引き起こす
  • ストレス、睡眠不足、栄養不足といった生活習慣とも密接に連動

まず大前提として、「糖」は人間にとって必須のエネルギー源です。私たちの身体は、生命維持のために「糖」を積極的に欲しがる構造になっています。 この生体機能が過剰に、あるいは誤作動的に働いてしまうと、自分でコントロールが効かない「依存」や「中毒」のような状態に陥ってしまうのです。


オーソモレキュラー療法(分子栄養療法)は本当に効果的?

テレビ番組内で砂糖依存の治療法として紹介された「オーソモレキュラー療法」とはなんでしょうか。
番組内で解説もしていた医師のHPから引用してみます。

自分にとって最適な食事や必要な栄養素を知るために詳細な検査を行います。 その結果から最適な食事を知り実践し、必要な栄養素をサプリメントで補充する治療法です。 1960年代にカナダにおいて精神疾患領域の治療で始まり、いまではあらゆる分野の診療科で応用され世界中で広く行われています。

https://mizoclinic.tokyo/orthomolecular/

薬に頼らず、サプリでビタミンやミネラルを摂取し「治療」するという主張のようです。
専門の医師もいることですし、「栄養素と食事による投薬だけに頼らない根本治療」は理想的に聞こえます。

オーソモレキュラー療法の問題点

まず明確な科学的エビデンスは不十分という問題点があります。
そして保険適用外なので高額な治療費・サプリメント代がかかります。(例:月5〜6万)

場合によっては病院がサプリメント販売と結びついているケースもありビジネス化の懸念もあります。
あくまで代替療法の一種であり“標準医療”ではないことに注意が必要です。

wikipedia : オーソモレキュラー療法

関口アキラ

個人的な感想としては、貧血や冷え性あたりなら食事療法とサプリは十分効果的だとは思います。ただ精神疾患やガンにまで効くとなると… ちょっとやりすぎですね。トンデモ療法と言われても仕方ないと思います。

そしてこれをテレビ番組で「砂糖依存はオーソモレキュラー療法で治療できる」と放送したのは…頭が痛くなりますね。余談ですが、同番組内での砂糖依存の前の話は「霊視商法で総額124億円の巨額詐欺を行っていた宗教団体」でした。自虐かな


本当に気をつけるべきは“砂糖の過剰摂取”

砂糖に限らず、なんでも過剰摂取は身体に毒です。水ですら過剰摂取で毒になるのですから。

糖の摂りすぎは、生活習慣病やうつ、不眠、肌荒れ、免疫低下などと関連があるとされています。
参考:精神疾患の新たなリスク要因(砂糖の過剰摂取)と表現型(脳毛細血管障害)を発見

WHOも砂糖の摂取量は1日25g未満を目安としています。とはいえ、砂糖は飲料や加工食品などに多く含まれており、気づかないうちに摂取量が増えてしまいがちです。ちなみに500mlペットボトルのコーラに含まれる砂糖は約56.5gです。

「依存症」と騒ぐ前に、まずは普段の食生活を見直し、隠れた砂糖の摂取に注意を払うことが大切です。


甘いものと上手に付き合うには?

とはいえ甘いもの無しにこの先の人生過ごすのは難しいです。
大切なのは「どう付き合うか」です。無理に断つよりも、食べる“タイミング”や“質”を見直すほうが効果的です。

食べるタイミングを見直す
・食後は必ずデザート、をやめてみる
・3時のおやつをティータイムやコーヒーブレイクに
・ストレスでの甘いものをやめる(別の発散方法を考える)

食べる質を見直す
・加糖飲料を無糖または人工甘味料に
・お菓子をナッツや果物に置き換える(殻付きのナッツだと食べるスピードが落ち、満腹感が増えおすすめ)

この程度のことで、と思いませんでしたか? 生活習慣を変えるには大きくではなく、ほんの小さなことから始めるのが大切です。またきっかけもどうでも良い方が長続きしたりします。この記事を見たきっかけにどうですか?

.o(こういう記事書いたし、ストレス発散で食べる甘いものやめてみるかな…)

まとめ

「砂糖依存症=危険=治療が必要」という構図には注意してください。TV番組内で紹介していた事例は極端なものです。高血糖が続いたり、よほどの肥満でない限り過度な心配をする必要はありません。

ちなみに次の話は「牡蠣を毎日20個、5年間食べ続けていた人が健康被害に!?」という話でした。そんなトンデモ事例を紹介する番組なんです。というより逆に5年健康だったのかよこの人。

テレビやSNSの情報は「依存症」「中毒」「危険」「スマートドラッグ」といったワードを使い、目をひかせようとしています。こういったワードに踊らされず、科学的根拠(エビデンス)を大事にしてください。

危険性を煽るような言葉に騙されず、根拠を自分で調べてみよう

余談ですがGemini2.5に聞いてみたところ、まんまと騙されてました。まだAIは信用ならん… ※2025年5月現在

最後に:栄養を摂る上で本当に大切な一つのこと

食生活で本当に大切なことは「いろんなものをバランスよく食べること」です。
でもメディアに出たり、SNSでバズっている人はこんなこと言いません。それは何故か。

当たり前すぎてつまらないからです。

本当にしっかりした栄養士・管理栄養士さんほどこの言葉を言っています。大切なことほどつまらないものです。
目先のセンセーショナルな話題に踊らされず、色々な食材を適度に楽しむことを心がけてください。


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この記事を書いた人

関口アキラのアバター 関口アキラ 管理人

調理師、栄養士、フードスタイリスト、カメラマン。「食」にまつわる幅広い分野で活動中。飲食店の立ち上げやメニュー開発、料理撮影、メニューデザインなど多様な現場に携わる。
食の楽しさを伝えるメディア「趣食研究所」を運営し、記事の執筆・撮影・編集を一貫して手がける。科学的根拠に基づいた発信を大切にしています。
http://se-akira.com/

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