「温泉卵」って美味しいですよね。
白身はとろとろ、黄身はねっとり。うどんや丼にのせる、あの卵をイメージすると思います。
一方、温泉地のお土産売り場には、白身も黄身もしっかり固まった卵があります。
箱根・大涌谷の「黒たまご」もその一つです。半熟ではありませんが、これも温泉卵です。

さらに「温度卵(おんどたまご)」という名称はご存知でしょうか?
何がどう違うのか、少しややこしいですよね。
実はこれ、混同というより呼び方の意味が重なっているんです。
今回は意外と知らない?気が付かない?、「温泉卵」と「温度卵」の違いや由来を解説します。
温泉卵には、2つの意味がある
実は「温泉卵」という言葉は、大きく分けると次の2つの意味で使われています。

| 呼び方の意味 | 注目していること | 卵の仕上がり |
|---|---|---|
| 温泉の湯や蒸気を利用して作った卵 | 熱源や調理方法 | 半熟の場合も、しっかり固まった場合もある |
| 白身がやわらかく、黄身が半熟にまとまった卵 | 調理後の状態 | 白身がとろりとし、黄身がねっとりした状態 |
結構知らなかった人多かったのではないでしょうか?
ちなみにこれは法律などで決められた分類ではありません。一般的な呼び方を理解するための整理です。
固茹で卵でも、温泉で加熱していれば温泉卵。
水道水で加熱しても、白身トロトロ黄身やや固めの状態なら温泉卵。

この2つが同じ名前で呼ばれているのが、ややこしかった原因です。
もともとは温泉の熱で作る「温泉卵」
名前から分かるように、温泉卵は温泉を利用したところからついた呼び名です。
キユーピーでは、温泉のお湯で作られることや、温泉旅館の朝食に出されることが多いことを、名前の由来として紹介しています。ただし正確な発祥や名前の由来はどうもわかっていないようです。
参考:キユーピー / 温泉卵の基本レシピ
ただし、「温泉で作る」といっても方法は一つではありません。温泉の湯に浸けるものもあれば、噴き出す蒸気で蒸すものもあります。

そして、温泉はどこも沸騰するほど熱いわけではありません。
日本の温泉の定義では、地中から湧き出る水などが温度または成分の条件を満たすかどうかが基準になります。温度の基準は25℃以上で、25℃未満でも所定の成分条件を満たせば温泉です。
参考:日本温泉協会「温泉とは」
沸騰して固茹でになる温泉もあれば、ちょうどトロトロの硬さになる温泉もあります。
したがって、「温泉で作ったから、この硬さになる」とは限りません。 卵の仕上がりは、加熱温度や時間によって変わります。
だからこそ各温泉地ごとの温泉卵ができて良い、とも言えますね。
家庭でも作れる料理としての「温泉卵」

現在は、温泉を使わずに作った卵も「温泉卵」と呼ばれています。
というより、もはやこちらのイメージの方が定着している気がします。
代表的なのが、白身がとろりとやわらかく、黄身が半熟にまとまった状態の卵です。家庭向けのレシピでも、この仕上がりを目指す料理が「温泉卵」として紹介されています。
では「温度卵(おんどたまご)」とは?
「温度卵」は、一般に温泉卵と呼ばれる、とろりとした卵の別の呼び方として使われます。
ほぼほぼ「温泉卵の別名」と言ってしまっていいと思います。固茹での温泉卵とは違いますが。
ただし、この名前を誰がいつ使い始めたかについては、今回確認した資料だけでは特定できませんでした。
私の経験上の話ですが、年配の料理講師、特に和食の方がこの呼び方することが多いと思っています。
あと昔の料理本(昭和発行くらいの)では「温度卵」と表記してあることが多い印象です。

↑書籍で裏付けを確認できていないため、完全に自分の経験のみで予測してみました。
使い分けとしては「温度卵」というと、温度を調整して調理する卵、とイメージしやすくなります。
ただ「温泉で作るものが温泉卵、家庭のお湯で作るものが温度卵」と分けるほどかと言うと、一般的な言葉の使われ方と違ってくるので、まとめて「温泉卵」でいいと思います。
ただ、たまに「温度卵」と記載されていたり、言う人がいるので知っておくといいとは思います。
温泉地の卵は、みんな同じではない
温泉といっても温度や成分が各地で異なります。
つまり、温泉卵も地域ごとに調理方法や仕上がりが違うんです。一部を抜粋してご紹介。
大涌谷の「黒たまご」|茹でてから蒸す

箱根・大涌谷の黒たまごは、真っ黒な殻が印象的な名物です。
公式サイトによると、約80℃の温泉池で約60分茹でた後、約100℃の蒸気で約15分蒸して作ります。しっかり加熱したゆで卵です。黒い殻は、温泉池の成分や火山ガスに関わる化学反応によるものです。
参考:大涌谷くろたまご館「黒たまごができるまで」
ただ、箱根はよく行くので知っていますが、観光客向けのお土産コーナーで売ってる黒たまごは黒く着色したものも多いのでご注意を。ちゃんとした黒たまごは大涌谷まで行かないと売ってなかったと思います。
平湯の「はんたい玉子」|白身がとろとろ、黄身が固め

奥飛騨・平湯温泉には「はんたい玉子」という名物があります。
奥飛騨温泉郷観光協会の紹介では、黄身が固く、白身がとろとろした温泉たまごとされています。
参考:奥飛騨温泉郷観光協会「つるや商店」

「一般的な温泉卵と反対」ではなく、「半熟ゆで卵と反対」という意味ですね。
雲仙の「温泉たまご」|湯に浸けず、蒸して作る
長崎・雲仙では、地獄の蒸気を利用した温泉たまごが名物です。
雲仙観光局も、雲仙地獄で蒸した温泉たまごを紹介しています。
参考:雲仙観光局「雲仙地獄工房」

この温泉たまごは、口伝で『1個食べたら、1年長生き。2個食べたら2年長生き。3個食べたら死ぬまで長生き』と言われており、秋の繁忙シーズンには1日に2,000個以上売れる人気商品です。
https://www.unzen.org/spot/jigoku_kobo
写真で見る限り、固めの温泉卵ですね。
温泉卵と聞くと「温泉のお湯で茹でる」と想像しがちですが、蒸気を使うものもあるのです。
もし温泉地に訪れる機会があれば、温泉だけでなく温泉卵にも注目してみてはいかがでしょうか。
温泉まんじゅうもありますね。楽しみが増えます! 嗚呼、全国の温泉&温泉卵巡りしたい…
まとめ
温泉卵には、温泉の熱を利用した卵という意味と、白身がやわらかく黄身が半熟になった卵料理という意味があります。温度卵は、後者のような卵を指す呼び方として使われます。
現在は「温泉卵」と呼ばれることが多いです。
ただたまに「温度卵」という呼び名が使われているので、知っていて損はないでしょう。
…でも、温泉卵と温度卵って文字で見るとわかんなくなりますよね。
あとどっちも略称が「温玉(おんたま)」なのが余計にややこしい。



