「1日分の野菜」「野菜これ一本」
野菜ジュースでそんなキャッチコピーを一度は目にしたことがあると思います。
野菜ジュース飲むと、本当に1日分の野菜を摂取できるのでしょうか。
この記事では栄養士の立場から、
野菜ジュースの正体と正しい付き合い方について
わかりやすく解説していきます。
「1日分の野菜」は本当?その意味を正しく知ろう

「1日分の野菜」とは何を基準にしているのか
野菜ジュースに書かれている「1日分の野菜」という表記は、
厚生労働省が推奨する「1日の野菜摂取量350g」を基準にしています。
2023年の国民健康・栄養調査によると、
日本人の20歳以上の1日あたりの野菜摂取量の平均は256gとなっています。
ある研究によると、野菜を1日350g以上摂取している人は、多くの栄養素の基準値を満たし、
より健康的な食生活を送っているそうです。
この研究をもとに、厚生労働省が「1日の野菜摂取量を350g」としよう、と決めたのです。
「1日分の野菜」は「1日分の野菜の栄養素」ではない
「1日分の野菜」と記載されている野菜ジュースには
たしかに1日の野菜摂取量350g分の野菜が使われているようです。
しかしこの記述に騙されてはいけません。
これは 「使われている野菜の重さ(原料量)」の話 であって
「この野菜の栄養素がすべて同じだけ摂れる」という意味ではありません。
この点が、「野菜ジュースは意味がない」と言われる原因のひとつです。
「1日分の野菜=栄養が全部摂れる」ではない理由
野菜ジュースは製造工程で、すり潰す・加熱する・濃縮・還元する
といった処理が行われます。
その結果、
- 食物繊維は大きく減少
- ビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンが減る
ということになります。
「1日分の野菜」という表現は間違いではありませんが、
野菜そのものと同等の栄養が摂れると考えるのは誤解です。
「1日分の野菜」は使われているが
「1日分の野菜の栄養素」が入っているわけではない
実際の野菜ジュースに含まれる栄養素を比較・検証

では実際の野菜ジュースにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか。
実際の商品例にいろいろ見てみましょう。
野菜一日これ一本:カゴメ
原材料は野菜、果物のみ。
【1本/200ml当たり】
エネルギー:61kcal
たんぱく質:2.1g
脂質:0g
炭水化物:14.2g
糖質:12.0g
糖類:9.7g
食物繊維:1.4~2.9g
食塩相当量:0~0.4g
カリウム:590mg
カルシウム:44mg
マグネシウム:24mg
ビタミンA:240~1400μg
ビタミンE:0~5.9mg
ビタミンK:0~21μg
葉酸:17~74μg
リコピン:7~29mg
β-カロテン:2500~14000μg
ポリフェノール:48~140mg
カロリー、糖分は控えめ
最近の野菜ジュースは砂糖・食塩不使用が多くあります。
野菜や果物の組み合わせでおいしさを表現してるんですね。企業努力です。
そのため、市販のオレンジジュースと比較しても糖類は半分以下になっています。
| 項目 | 野菜ジュース | オレンジジュース(果汁100%) |
|---|---|---|
| エネルギー | 61 kcal | 約90 kcal |
| 炭水化物 | 14.2 g | 約22 g |
| 糖質 | 12.0 g | 約21 g |
| 糖類 | 9.7 g | 約18〜21 g |
食物繊維はほぼ摂れない
野菜ジュース最大の弱点は、食物繊維が少なくなることです。
| 栄養素 | 野菜350g(目安) | 野菜ジュース | 比較 |
|---|---|---|---|
| 食物繊維 | 約7〜10g | 1.4〜2.9g | 実際の野菜の30%程度の食物繊維量 |
1日に摂取すべき食物繊維の量は
成人男性で21g、成人女性で18gとなっています。
腸内環境や血糖値の安定という面では、野菜ジュースは野菜の代替にはなりません。
水溶性ビタミンは壊れてしまう
| 栄養素 | 野菜350g(目安) | 野菜ジュース | 比較 |
|---|---|---|---|
| ビタミンC | 60〜100mg | (表示なし) | ジュースにするとほぼなくなってしまう |
| 葉酸 | 120〜200μg | 17〜74μg | 野菜の10~30%程度まで壊れてしまう |
ビタミンCや葉酸などの水溶性ビタミンは、
- 空気、熱、光
の影響を受けやすく、加工食品では減少しやすい栄養素です。
野菜ジュースで補給する考えはやめた方がいいですね。
メーカーによってはビタミンCを添加物として加えている商品もあります。
伊藤園の「1日分の野菜」という商品ではビタミンCが60~210mg含まれているという記載がありました。
原材料にビタミンCの表記があったので、これは添加されているもののようです。
ただし脂溶性ビタミン量は優秀
逆に本当に野菜ジュース1本で1日分摂れてしまう栄養素もあります。
ビタミンAは1日に必要な量の約28〜165%
ビタミンEは1日に必要な量の0〜91%
摂れる計算になります。
| 栄養素 | 野菜350g(目安) | 野菜ジュース | 比較 |
|---|---|---|---|
| ビタミンA(RAE) | 600〜900μg | 240〜1400μg | ジュースで1日分足りてしまう。約28〜165% |
| ビタミンE | 3〜6mg | 0〜5.9mg | 0〜91%と幅はあるが摂取できる。 |
| ビタミンK | 80〜150μg | 0〜21μg | 0〜25%程度なら摂取できる。 |
ミネラルも比較的いい量
壊れることのないミネラルは、加工の段階で減ってしまうとはいえ、割といい量が含まれています。
| 栄養素 | 野菜350g(目安) | 野菜ジュース | 比較 |
|---|---|---|---|
| カリウム | 900〜1,200mg | 590mg | 1日に必要な半分は摂れる |
| カルシウム | 120〜180mg | 44mg | 25~30%程度は摂れる |
| マグネシウム | 60〜90mg | 24mg | 26~40%程度は摂れる |
例えばカリウムなんて野菜ジュース1本で小松菜200gやトマト3個と同じ量なんです。
機能性成分も豊富
他の野菜由来の成分もなかなかに優秀です。
| 成分 | 含有量 | 評価 |
|---|---|---|
| リコピン | 7〜29mg | トマト1個で約3〜5 mg。 |
| β-カロテン (体内でビタミンAに変換) | 2,500〜14,000μg | 皮付きにんじん1本で約13,000μg。 |
| ポリフェノール | 48〜140mg | ぶどう100gで約150 mg。 |
どれもそれぞれ野菜・果物から摂取すると考えるとなかなかの量ありますが、
野菜ジュース1本ならお手軽に摂取できると言えます。
結論:野菜ジュースはあくまで食事の補助

以上の検証結果からも分かる通り、
野菜ジュースを飲めば、野菜を食べなくてもいいわけではありませんが
栄養素が全く摂れないというわけでもありません。
野菜の代わりとしてではなく、食事の補助として考えるのが現実的です。
特に水溶性ビタミン、食物繊維に関しては大幅に減ってしまうので注意が必要です。
…とは言え、1本で1日分の10~30%摂取できるのはかなり優秀ですけどね。
何事も過信は禁物、ということで。
それでも野菜ジュースで健康維持したい人へ
「期待し過ぎちゃダメだとわかったけど、飲まないよりはマシでしょ?」
それもそうです。
というわけで、最後に上手に活用する3つのコツを紹介したいと思います。
- 砂糖・食塩無添加タイプを選ぶ
- 1日に何本も飲まない
- 食物繊維や水溶性ビタミンは別で摂る
砂糖・食塩無添加タイプを選ぶ
砂糖と食塩の取りすぎを避けるため、これは押さえておきたいところ。
と言っても、市販の野菜ジュースだと逆に添加している方が珍しいかもしれません。
念の為パッケージを確認するくらいでいいかと思います。
ちなみに無添加と言っても、砂糖・食塩が入っていないわけではありません。
野菜・果実由来の糖分・塩分が含まれています。
1日に何本も飲まない
野菜だから摂れば取るほどいいんでしょ?と思ってガブガブ飲むものではありません。
特に糖分・塩分は摂り過ぎてしまう傾向にあります。
毎日1本飲む程度なら問題ありません。何事もほどほどに。
食物繊維や水溶性ビタミンは別で摂る
ジュースにする過程で食物繊維・水溶性ビタミンは消えてしまう、と記載しました。
全くのゼロになるわけではありませんが、ジュースから全部摂ろうと思うと、結構な量を飲まないといけません。
というわけで、野菜ジュースに足りない、水溶性ビタミンと食物繊維を手軽に補える食材をいくつかご紹介します。
ブロッコリー

- 食物繊維:約4.4g/100g
- 冷凍・惣菜で手に入る
- 不溶性+水溶性の食物繊維バランスが良い
👉 お手軽に食べられるおすすめ野菜
ミニトマト

- 食物繊維:約1.4g/100g
- 洗うだけで食べられる
- リコピンも豊富
👉 お弁当にちょっと忍ばせてみては
バナナ

- 食物繊維:約1.1g/100g
- 携帯性No.1
- レジスタントスターチも含む
👉 バナナさえあれば生きていけそうな安心感ありますよね
ブルーベリー

- 食物繊維:約3.3g/100g
- 洗わず食べられる冷凍品あり
- ポリフェノール豊富
👉 おつまみ、デザートでパクパクと
まとめ
- 野菜ジュースは、「1日分の野菜=350g分の原料」を使っている点は事実
- しかし1日に必要な野菜そのものと同じ栄養がそのまま摂れるという意味ではない
- 食事の補助として活用するのは大いにアリ
野菜ジュースは、製造工程の都合上、食物繊維やビタミンC・葉酸といった水溶性ビタミンが大きく減少します。
一方で、脂溶性ビタミン、β-カロテンやリコピンなどの脂溶性成分、カリウムなどのミネラルは比較的しっかり残ります。この特性をしっかり理解しましょう。
理解した上で、
忙しくて野菜が十分に摂れない日や、外食が続いた日の調整役として
無糖・食塩無添加のものを1日1本程度取り入れる。
そして不足しがちな食物繊維や水溶性ビタミンだけは、野菜や果物で補う。
この使い方であれば、野菜ジュースは決して「身体に悪いもの」ではありません。
過信せず、正しく理解して使う。
それが、野菜ジュースと上手に付き合うための結論です。





